瀬棚線には、茶屋川-美利河-花石と響きの奇麗な駅名が並ぶ。
そして、ここは美利河をサミットとする渡島半島の低い分水嶺越えの区間でもある。
本線の大型蒸機を差し置いての瀬棚線は、この駅名に誘われてのことだ。
実際に、山間の小さな盆地を思わせる美利河と花石の間は美しいところで、蛇行する後志利別川を二度渡る(橋梁名は第一第二の渡島利別川橋梁)花石寄りも気持ちの良い風景だったし、R300やR400曲線の連続する美利河近くの、道南らしい落葉樹の山越えも捨て難かった。
美利河の赤い三角屋根の小さな駅舎も、多分に駅名を意識して建替えたのであろうが、好ましく思えたもの。この当時は簡易委託駅で、駅舎内に乗車券の販売所が設けられていた。
当然貨物扱いなど無い、乗降場も一面のみの棒線駅にもかかわらず、この頃二往復設定されていた貨物列車の内の下り1本が10数分間停車するダイヤだった。この列車、次駅の花石で上り旅客列車との交換になるのだが、列車運行図表を読む限り花石へ直行しても何の支障もないと思われ、今もって謎の停車である。
列車は、1992列車。長万部までの線内貨物である。
当時、長万部機関区には3両のC11の配置があり、瀬棚線のほか函館線の黒松内までの旅客列車の仕業も存在した。
こちらは残念ながら撮っていない。
[Data] NikonF+AutoNikkor50mm/F1.4 1/250-f5.6-8 Y48filter NeopanSSS Edit by CaptureOne5 on Mac.