早来 (室蘭本線) 1967

‘Monochrome の北海道 1966-1996’

1967-2

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北海道のC57は、1960年代の初めまで優等列車の先頭に立つ、所謂「急客機」だったのである。

1・2列車の列番を保持し道内国鉄の代表列車であった函館-網走間<大雪>の小樽-旭川、函館-釧路間7・8列車<まりも>の小樽-富良野、室蘭/千歳線経由の107・108<すずらん>の函館-札幌間全区間がC57による牽引であった。(函館-旭川間5・6列車<あかしや>は全区間C62牽引)

その頃までは小樽市内の在住で、富岡教会近くの自宅窓からは小樽駅に上がる煙を間近に見えて、その前後区間に出かけては、これらを飽かずに眺めていたものである。写真機を手にする以前のこととて、残念なことに撮影はしていない。

小樽築港機関区に18両が集中配置の機関車番号が、当時つけていたノートに残る。おそらく機関区まで出かけて行って教えて貰ったものと思う。


これらが一変するのが1961年10月の改正で、この前年に<すずらん>は気動車列車に立替えられたのに加えて、<あかしや>も旭川-網走間を延長して気動車急行<オホーツク>を名乗り、<大雪>は客車運用が継続したものの札幌打切りでC57の出番はなく、<まりも>が唯一の仕業として残されたのみであった。


これにより小樽築港区のC57に余剰が生じ、それらは苗穂機関区にて千歳線での貨物列車の補機仕業に転じた他、室蘭機関区のC55の置替に使われた。

国鉄線上における蒸機牽引旅客列車の掉尾を飾った、室蘭-岩見沢間シャトル列車のC57仕業は、ここに始まった訳である。その末期には室蘭機関区の縮小により、その配置は本来貨物用機の配置区である岩見沢第一機関区に移されている。


室蘭本線も早来近くになるとウトナイ湖周辺の湿原から丘陵地にかかり、施工基面高も18メートルを越える。線路周辺の植生も背の低い広葉樹林となって、冬期間には落葉し、所謂「冬木立」の様相だ。

平坦線区で「煙」の期待出来ないならば、一工夫が必要と考えていた身としては習作に良い機会だった。


列車は、225列車岩見沢行き。この当時は6両編成と、現在とは比べ物にならない輸送力である。


[Data] NikomatFTN+AutoNikkor5cm/F2     1/500sec-f5.6    Y52Filter     NeopanSSS     Edit by CaptureOne5 on Mac.

1967年夏に初めて北浜を訪れた際の、そこでの最初のカットである。

ご他聞に漏れず、何はともあれ濤沸川橋梁に向かいこれを撮っている。この画角を押さえた後に、真横に撮ってみたり、橋梁の袂に接近してみたり、反対側の海岸側に回ったり、或は市街地背後の丘から遠望したりするから、これが北浜での基本形なのである。

この頃の拙い写真技術を思えば偶然の産物に違いないけれど、季節も海風もそこの大気感も写り込んでいて、以後ここでこれ以上の基本形は撮れていない。しかも、やって来た機関車は当時北見機関区に居たC581であった。


釣り人にはとっくに承知のことだろうが、汽水湖である濤沸湖にはオホーツク海に流氷の押し寄せると、それを避けて様々な魚が避難して来る。その中には海底の砂に暮らすカレイもいる。ずいぶんと前のことだけれど、流氷の去って湖面の氷も溶け往く頃、この橋梁下でタモ網を振り回す子供らを見かけ、背後から覗き込むと小さな魚がいくらでも掬えるのだった。聞けばカレイの子だと云う。ここで越冬して春に海へと帰って往くのである。その出口で待ち構えられてはカレイも敵わぬことだ。

親魚は海との間を自由に行き来しているらしく、これは、今でも湖面での釣り魚である。もちろん漁も行われていて、これの他の漁獲にワカサギやチカは当然との気もするが、ニシンもあると聞けば以外に思える。2008年度の統計では9トンもの水揚げが記録されている。これも海との往来組なのだろう。


列車は、混合630列車。

斜里から網走までの区間列車ゆえか、ここでのセオリーに反して貨車は後組成なのだった。

道東オホーツクの大気は爽やかで、当時札幌に暮らしながらそう思うのだから贅沢と言うものである。その海を見て「海水浴」を企て、見事に敗れ去るのは

翌年のことだ。


[Data] NikomatFT+AutoNikkor35mm/F2     1/500sec@f8     Y48filter     NeopanSSS(ISO200)     Edit by Photoshop CS3 & LR3 on Mac.

北浜 (釧網本線) 1967

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